ベジタブルタンニンレザーの魅力とは? クロム鞣しとの違いは?


皮の魅力を最大限に引き出すベジタブルタンニンレザー。植物性タンニンで鞣された革について詳しく解説

人類が皮を扱ってきた歴史は諸説ありますが旧石器時代まで遡るといわれています。寒さや衝撃から身を守るために使われていたとされる皮ですが動物の原皮はそのまま使うと硬くなってしまい腐敗してしまうことから不要なタンパク質や脂肪を取り除く皮を鞣すという工程が必要でした。

最古のなめし技術と考えられているのが魚や動物の油脂を塗る「油なめし」、囲炉裏の近くにかけておくと腐敗しないことから始まった「くん煙なめし」と考えられています。

そして本題の「植物タンニン鞣し」は紀元前6000年前に倒木のそばで死んだ獣の皮や染色のために草木の汁に漬けた皮が腐らないことから発見されたとされています。人類が「皮」を鞣し「革」にする術を手に入れた瞬間です。日本では縄文時代にあたります。

人類最古の素材といっても過言ではない革という素材が現在も使われているのは感慨深くロマンを感じます。


縄文時代の風景
縄文時代の鞣風景

イラストの下段右側で行っている木に動物の皮を広げて作業しているのが昔の皮を鞣す作業風景になります。YouTubeで【How to animal Tanning】などで検索すると昔ながらの手法で皮を鞣す動画などが出てくるので気になる方は検索してみてください。

イラスト提供・歴史情報画家 中西 立太

資料協力 玉川文化財研究所/同研究所長 戸田 哲也 縄文人のくらしサイトより

都市テーぺ(現ルクソール)の壁画

他にも古い資料として古代エジプト都市テーぺ(現ルクソール)の壁画からも皮を鞣しサンダルなどを作っている作業風景が確認できます。

右側の壺に皮を入れているのが鞣し作業で中央の壁画に描かれているのはサンダルを作る作業を描いています。

主に革で作られていたものはベルト、鞭、ロープ、楽器の部品、犬の首輪、サンダル、バッグなどが多かったようです。

現在では昔のように一枚づつ鞣すのではなく樽やピット層に植物タンニンを入れ漬け込み、鞣す作業を行うようになっています。それでも手間がかかることからベジタブルタンニン鞣し行っているタンナー(製革業者)は世界的にも少なくなっています。



現在もベジタブルタンニン鞣しを行っているタンナー(製革業者)を一部紹介






すべての植物に存在するタンニンとは?

タンニンは植物界に普遍的に存在しタンパク質、アルカロイド、金属イオンと反応し強く結合し難溶性の塩を形成する性質を持っています。この性質が皮を良質な革へと変化させてくれます。

ちなみにタンニンという名称は「皮を鞣す」(原料皮から不要なたんぱく質を除去する)という意味の英語である "tan" に由来し、本来の意味としては製革に用いる鞣革性を持つ物質のことを指す言葉でもありました。


実は身近な存在のタンニン


タンニン

そんなタンニンですが私たちの生活にも深く関わっていたりもします。代表的なところでは渋みの成分としてワイン、お茶、チョコレート、コーヒーなどに含まれています。ウイスキーやワインを熟成させる際にオーク材の樽を使用したりするのもタンニンが多く含まれているからです。

他にも日本では古くから柿渋に含まれるタンニンの撥水、防腐効果を和傘、柿渋紙、漆器の下塗りなどの用途に利用してきた歴史もあります。


実際に皮を鞣す時に使われているタンニンを紹介


タンニン

現在、皮を鞣す際に使われているタンニンはミモザ、オーク、チェストナット、ケブラチョなどが挙げられます。これらの植物からタンニンを抽出し粉末や濃縮した液体を使い鞣しています。

タンナー(製革業者)には独自のタンニンのレシピ(組み合わせ)が存在し、さらに漬ける期間や配合によりタンナー独自の革が出来上がります。鞣す工程やレシピは気候や工場の湿度などにも左右されるので各国のタンナー(製革業者)の職人に代々受け継がれタンナー独自の鞣し方が存在するのも興味深く魅力でもあります。



世界に流通している革の10%しかないベジタブルタンニンレザー

現在、流通している革の多くはクロム鞣しといわれる塩基性硫酸クロムという薬品を使って鞣された革です。ベジタブルタンニンで鞣された革は10%程度しか流通していません。

なぜ、このクロム鞣しが主流になっているかというとベジタブルタンニンで皮を鞣すと最低でも2ヶ月はかかる工程を1日〜2日で鞣すことができるからです。

作る商品などによってはクロム鞣しの方が良い場合もありますが生産コストが安いというのが世界的に主流となった理由ではないでしょうか。



ベジタブルタンニン鞣しをオススメする理由

なぜ、コスト的にも高いベジタブルタンニン鞣しをcom-onomが使用するのか? それはクロム鞣しでは味わえない革が持つ魅力を体感できるからです。

使い込むほどに柔らかくなり艶や深い色味が増していくのが最大の特徴であり魅力です。

コスト的には高いですがベジタブルタンニンで鞣された革は使い込むほどに愛着が湧くという魅力が詰まっています。

プエブロレザー経年変化
プエブロレザー経年変化

革は一人一人の使い方によって独自の変化を遂げ美しい表情へと変化をしてくれます。ふたつとして同じ経年変化は存在しません。自分が使っている物への愛着が湧いてくるのも魅力でありオススメする理由です。写真の商品はイタリアのプエブロレザーを使用したものです。




すべてを自然素材で作り上げるベジタブルタンニンレザー

SDGSロゴ

自然界に存在する植物タンニンを使い動物の皮を鞣し「革」へと昇華させる。そんな革素材は持続可能な素材の代表ではないでしょうか?

その中でも特にベジタブルタンニンレザーは全てを自然素材のみで作り上げる地球環境にも優しい素材だと言えます。




com-onoの商品でベジタブルタンニンレザーを使用した商品一覧

革好きのお客様からも人気の高いベジタブルタンニンレザーを使ったアイテムです。ぜひ、商品サイトを見てみてください。

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